2023.06.02
ニューズレター

「事業成長担保権の創設について」:ファイナンスプラクティスグループ

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事業成長担保権の創設について

2023年2月10日、「事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するワーキング・グループ報告」(以下「報告」といいます。)が金融審議会「事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するワーキング・グループ」(以下「WG」といいます。)より公表されました。そこで議論されている事業成長担保権については2023年中に立法手当てがされるとも報道されており、現在事業成長担保権制度の創設を目的とする法案の提出に向けた準備が進められているものと思われます。現時点で法案については公表されておりませんが、このニューズレターでは、報告中で明らかにされた事業成長担保権の概要について紹介します。事業成長担保権制度は、今後立法化のプロセスで本稿とは異なる制度になる可能性がありますので念のためご留意ください。

 

事業成長担保権は何のためのスキームか

 

事業成長担保権は、スタートアップや事業の成長・承継・再生等の局面にある企業へのあらたな資金調達スキームです。担保となる有形固定資産を十分に有しない企業に借入による資金調達の途を開くことを目的としています。WGでは現在の金融機関の融資実務では土地建物に対する抵当権等、有形固定資産を担保に徴する金融が企業融資の主流であり、こうした有形固定資産をもたない企業に対する成長資金供与が不十分との認識が示されています。また、東証一部上場企業の時価総額中30%以上が無形固定資産であり、これを担保にした成長資金の供給が可能ではないか、加えて中小企業への融資において経営者保証を徴するケースが70%を超えており、過度の経営者保証への依存が従業員による事業承継の支障となり、かつ企業の積極的な投資を抑制しているのでないかとの問題点も示されています。こうした課題を解決し新たな融資実務を支える担保法制が事業成長担保権です。

 

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発行年月
2023.06
業務分野
金融規制法(レギュラトリー)
掲載先

ニューズレター

著者等
オブ・カウンセル

加地 弘典 Hirofumi Kaji

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