「令和8年10月1日施行 カスハラ対策義務化に向けて企業が準備すべきこと」
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令和8年10月1日施行 カスハラ対策義務化に向けて企業が準備すべきこと
―改正労働施策総合推進法・厚生労働省指針のポイント―
令和8年10月1日から、改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」に関する事業主の防止措置が義務化されます。これに伴い、厚生労働省指針では、カスハラの定義を明らかにした上で、事業主が講ずべき措置として、事業主の方針等の明確化、相談体制整備、事案発生時の迅速・適切な対応などが示されています。
企業においては、方針やマニュアルを形式的に整えれば足りるものではなく、カスハラ対応で本当に重要なのは、現場で実際に使えるルールとして落とし込むことです。
私自身は、これまで裁判官として多数の民事紛争に関わり、その後、弁護士として企業の労務問題、ハラスメント対応、クレーム対応に従事してきました。その経験を踏まえると、カスハラ対応で特に重要なのは、正当なクレームとカスハラとの線引きを、あらかじめ組織として整理しておくことだと感じています。
近年、顧客、取引先、施設利用者などから、現場の従業員に対し、暴言、威圧的な言動、長時間の拘束、不当な金銭要求、SNSへの投稿を示唆した圧力などが行われるケースが増えています。
カスハラという言葉が広く知られるようになり、自治体でも防止条例の制定が進んでいます。しかし、企業における具体的な対策は、必ずしも十分に進んでいるとはいえません。報道では、東京都が公表した調査において、カスハラ防止対策に取り組んでいる企業は約4割にとどまり、取り組んでいない理由として「正当なクレームとの判断の難しさ」や「ノウハウ不足」が挙げられています。
カスハラ対応を現場任せにすると、従業員の心身に大きな負担が生じるだけでなく、企業としても、業務上の支障、ブランドイメージの低下、人員確保の困難化など、さまざまな影響を受ける可能性があります。また、企業が従業員を守るための適切な対応を怠った場合には、安全配慮義務違反が問題となり、治療費、慰謝料などの損害賠償責任を問われる可能性もあります。カスハラ対策は、単なる接客対応の問題ではなく、従業員の安全と企業経営を守るための重要なリスク管理です。
本ニューズレターでは、このような問題意識を踏まえ、カスハラに関する基本的な内容やポイントを整理した上で、厚生労働省指針が求める事業主の措置や、施行日までに確認すべき実務上のポイントについて説明します。
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【目次】
1 カスタマーハラスメントとは何か
2 正当なクレームとカスハラの線引き
3 事実確認で押さえるべき4つのポイント
4 事業主に義務付けられる措置
5 施行日までに確認すべきチェックポイント
6 おわりに
【関連リンク】
STRATEGIC COMPLIANCE INSIGHTS 2026年6月号「企業はどこでつまずくのか―多数の不正・紛争事案から考える『不正の分岐点』」
- 発行年月
- 2026.07
- 業務分野
- 人事労務アドバイス 労働法コンプライアンス ハラスメント/不正調査
- 掲載先
- 著者等