「企業はどこでつまずくのか―多数の不正・紛争事案から考える『不正の分岐点』」STRATEGIC COMPLIANCE INSIGHTS 2026年6月号
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企業はどこでつまずくのか―多数の不正・紛争事案から考える「不正の分岐点」
Ⅰ. はじめに
企業不祥事、社内不正、取引先や従業員との紛争というと、どうしても表に出た「結果」に目が向きがちです。架空計上、データ改ざん、ハラスメントなど、問題として認識されるのは、多くの場合、すでに何かが起きた後です。
もっとも、実際には、企業がつまずくのは、そのような大きな問題が表面化した時点ではありません。そこに至る前、まだ「よくある実務上の悩み」に見えている段階で、すでにいくつかの分岐点が現れています。
私自身が元々は裁判官として、そして現在は弁護士として、多数の不正・紛争事案に携わってきた際、事後的に経緯をたどると、「問題はもっと前から始まっていた」と感じることが少なくありません。しかも、その「もっと前」の場面は、必ずしも派手ではありません。むしろ、日々の業務の中でよくある会話や、忙しさの中で流されがちな小さな判断の中に潜んでいます。
「今回は例外で進めましょう」
「この程度なら、あとで整えればよいのではないか」
「大きな問題になる話ではないでしょう」これらはいずれも、どこにでもありそうな言葉です。実務を動かす上で、一定の柔軟な対応が必要不可欠であることも事実です。問題は、そうした判断がされたこと自体ではなく、その判断がどのような感覚で行われ、組織の中でどう扱われていくかにあります。
本稿では、企業がどこでつまずくのかを、不正や紛争が起きた後の話としてではなく、その手前にある「不正の分岐点」という観点から考えてみたいと思います。
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【目次】
Ⅰ. はじめに
Ⅱ. 裁判官の視点から見ると
Ⅲ. 企業は、大きな不正より先に「小さな無理」でつまずく
Ⅳ. 「今回は特別」が、なぜ危ないのか
Ⅴ. 不正と紛争に共通するのは、「違和感を扱えないこと」である
Ⅵ. 後から見て説明できるか、という視点
Ⅶ. おわりに
【関連リンク】
- 発行年月
- 2026.06
- 業務分野
- コンプライアンス・内部統制
- 掲載先
- 著者等