[コラム] 「民訴法学あれこれ #07 債権者代位訴訟」:高橋宏志(顧問)
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債権者代位訴訟
私は、50年、民訴法の研究者として過ごしてきた。その間に、民訴法学もずいぶんと変わったと言うことができ、そのいくつかを綴ってみることとする。今は昔、の物語である。
今回は、債権者代位訴訟を採り上げる。債権者Gの債務者Sに対する債権をGS債権、債務者Sの第三債務者Dに対する債権をSD債権と表記しよう。債権者代位に関しては、三ケ月章先生の学説が重要である。さて、債権者代位はフランス民法(1804年)経由のものであり、ドイツ民法(BCB。1886年公布、1900年施行)にはない。他方、法定訴訟担当という概念はドイツ民訴法経由のものであり、フランス民訴法では十分成熟していないものであった。その両者が、日本において、大正15年民訴法改正の後に債権者代位は法定訴訟担当だという形で結び付いたのであり、沿革からして、そもそも無理があったというのが三ヶ月説の出発点である。ちなみに、債権者代位はドイツ民法にはないが、それに替わる機能を、債務者Sの一般財産の保全という本来型の債権者代位では債権執行と保全処分(仮差押え・仮処分)が担い、債務者Sの特定財産の保全(つまりは債権者Gの非金銭債権)という転用型の債権者代位では任意的訴訟担当が担っている。任意的訴訟担当の持つ実際上の意味は、債権者代位のあるなしを介してドイツと日本では大いに違っているのである。
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- 発行年月
- 2025.04
- 掲載先
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ニューズレター
- 著者等