サステナビリティ関連弁護士等のご紹介
木村勇人弁護士(パートナー/第二東京弁護士会)

フォーエバーケミカルPFAS 新しい分野に積極果敢に取り組む
かつては「便利な化学物質」として広く活用されてきたPFAS(有機フッ素化合物)ですが、近年では「永遠に残る化学物質(フォーエバーケミカル)」とも呼ばれ、人体や環境への悪影響が懸念され、社会的な課題として注目されています。
木村勇人弁護士(パートナー)はこの問題を、人類が便利さを追求する中で生み出したものが予期しない形でリスクを生む可能性があることを示す、非常に考えさせられる事例と捉え、法的側面からの課題解決を目指し、積極的に取り組んでいます。
木村弁護士がPFASを取り扱うようになったのは、2022年から2023年まで勤務していた米国の法律事務所における偶然の出会いからでした。米国で各種の化学物質に対する規制が強まり、現地法律事務所がPFASに関連する相談を受ける機会が増えている時期に、自身の米国勤務が重なったのです。
日本でこの分野を取り扱う弁護士は極めて少ない中、米国で化学物質管理に関与した経験を有する木村弁護士は、米国で勤務していた2023年4月、JETROからのご依頼で化学物質規制をテーマとしたセミナーを実施しました。多くの方々にご参加いただき、好評を得て、その後化学物質規制管理に本格的に取り組むようになり、現在もPFASに関するセミナーに数多く登壇しています。
2024年3月には、共同執筆した書籍『PFAS(有機フッ素化合物)の現状及び規制の影響と今後の対応』が出版されました。
A&Sの翻訳プロボノ活動をリーダーとして推進
当事務所は、弁護士等の使命の実現のために必要不可欠な様々な公益活動を当事務所自身の本質的使命と位置づけ、積極的に実践しています。
そのひとつが、言語の壁を越え、法的サービスを提供する方とサービスを必要としている方との懸け橋になることを目的とした翻訳プロボノ活動です。木村弁護士はその中心人物として、当事務所に所属する弁護士及びスタッフ有志を募り、プロボノT&I(Translation and Interpretation)チームを立ち上げました。
令和6年能登半島地震においては、報道機関、公共団体の情報発信、外国語での情報入手方法について当事務所ホームページにおいて情報を集約し、多言語で発信するなどの活動を行いました。
木村弁護士のプロボノ活動の原点は、自身の米国留学及び米国法律事務所勤務時までさかのぼります。当時外国で生活する中で、木村弁護士は、言葉が通じないために些細なことでも物事が思うように進まないという経験をしました。この経験を通じて、弁護士としての専門知識とスキルを活かして困っている人々を支え、社会に貢献すべきだ、という信念を持つようになったのです。
その強い想いが社会貢献を重視する当事務所の文化と合致し、さらに、法律に関する情報が言語の壁によって必要な人々に届かない状況を目の当たりにしたことで、事務所のメンバーがこのギャップを埋める役割を果たせるのではないかと考えたこと、それが木村弁護士の翻訳プロボノ活動開始のきっかけとなりました。
異なるバックグラウンドを持つ多様な人材がそれぞれのスキルや能力を活かしながら社会的に意義のある取り組みを実現できる環境が、当事務所に整っていることも大きな後押しとなりました。
木村弁護士は「翻訳プロボノ活動は、こうした信念を形にする一つの手段です」と語り、今後もより多くの人々に法的情報が届く社会を目指して活動を推進していきたいと考えています。
未来の世代に「豊かな」生活を送る選択肢を残す
サステナビリティを「未来の世代に、現代と同じように『豊かな』生活を送ることができる選択肢を残していくこと」と捉え、PFAS、そしてプロボノというサステナビリティにもつながる活動を精力的に行っている木村弁護士は、この「豊かさ」という概念を、単に経済的なものではなく、環境の健全性や社会の公平性、そして文化的な多様性をも含む、広い意味での豊かさを意味するものと考え、クライアントの利益実現のために事務所全体として全力で業務に取り組みながら、社会全体のサステナビリティの実現に貢献していきたいと考えています。
入江克典弁護士/ベトナム外国弁護士
(ホーチミンオフィス代表/パートナー/東京弁護士会)

経済成長著しいベトナムにオフィス設立、東南アジア諸国に関わった経験と強みを生かす
サステナビリティ委員会の一員である入江克典弁護士(パートナー)は現在、当事務所が2024年7月に東南アジア初の拠点として設立したホーチミンオフィス(Atsumi & Sakai Vietnam Law Firm)の代表を務めています。
ラオスでの活動経験がありベトナムを含む東南アジアに精通している入江弁護士は、東南アジア最大の経済都市の一つであるホーチミンを拠点として、クライアントの東南アジアにおける事業展開や幅広い領域のグローバル規模の案件に、国際的視点から的確かつ迅速に対応しています。ベトナムは経済発展著しい東南アジア諸国の中でも様々な領域で人材育成が進んでおり、親日で日本語ができる人材にも恵まれています。
ホーチミンオフィスは、現在日本弁護士・ベトナム弁護士合わせて3名体制で、現地での信頼を獲得しながら、提供するリーガルサービスをより一層拡充すべく活動しています。
弁護士としての原点である社会貢献と国際協力への思い
そんな入江弁護士の原点は、大学時代にあります。
将来につながる何かに没頭したい、という思いを抱きつつもその何かを見つけることができず自分は何者であるかを模索する日々の中、履修科目として「法律学」に出会いました。法律の世界に人間としての側面が大きく現出する面白さを感じ、法を通じて助けを必要としている人々に手を差し伸べてあげられるのではないかと思ったこと、それが入江弁護士の原点であり、法曹を目指す大きなきっかけとなったのです。
弁護士登録後の数年間は企業法務や訴訟業務に従事し、それなりに充実した日々を送りつつも、自分の活動が本当に社会のためになっているのかという葛藤を抱いていました。
社会貢献への思いが国際的な仕事をしたいという思いに結びつき、もう一度自分の価値基準を見直そうと思い立った頃に、日本弁護士連合会が主催するセミナーを通じて国際協力や法整備支援に携わる弁護士の存在を知りました。
さらに関心が深まった2014年には独立行政法人国際協力機構(JICA)主催の法整備支援専門家育成のための研修に参加してこの世界に携わりたいという思いを強くし、2015年4月にJICAの国際協力専門員となり、2021年までラオス民法典起草という国家一大事業を含む法整備支援、その他国際協力活動に従事しました。
JICA法整備支援事業に貢献
入江弁護士は、JICAの長期派遣専門家としてラオスで民法典の起草支援などに携わった経験を有し、また国際協力専門員としてベトナムやインドネシア、ミャンマー等の東南アジア諸国の法整備支援にも関わりました。
JICAにおいて対象国の歴史、文化、社会を知り、人々との交流を通じて法の知識を高め合い、法とは何かという命題に立ち戻って考える機会を得られたことは、現在の入江弁護士の活動に大いに生きています。
2024年4月、当事務所からは入江弁護士を含む3名の弁護士がJICA法制度整備支援アドバイザーに就任し、JICAに対する技術的助言を行っています。JICAの法整備支援事業への関与を通じて、国際的な法の支配と正義へのアクセスを促進し、サステナビリティへの貢献を果たしています。
「ビジネスと人権」の社会浸透に寄与
また当事務所は、2024年に「ビジネスと人権チーム」を創設し、入江弁護士はそのチームリーダーとして、人権方針の策定支援、人権デューディリジェンス、社内研修の実施といったサービスラインを整備している他、ニューズレターの発行や時事速報における情報発信等を通じて、ビジネスと人権の理念が社会に浸透するよう精力的に活動しています。
当事務所は、弁護士法第1条に「弁護士の使命」として規定されている「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」を実践するため、様々な公益活動に積極的に取り組んでおり、入江弁護士もまた、「弁護士は、熟慮に富んだ市民としての行動指針を示し、市民社会の形成に貢献する役割がある」という信念のもと、クライアントの責任ある企業活動を支え、人権の分野において貢献する責務を果たすために日々活動しています。
「法の支配ユビキタス世界」の実現を目指して
入江弁護士は今後の展望として、ベトナム法人を中心として東南アジアにおけるリーガルサービスを拡充するとともに、法整備支援、ビジネスと人権といった活動を通じて東南アジアの地域社会の発展に寄与し、いつでもどこでもあらゆる人が法の支配の恩恵を受けられる「法の支配ユビキタス世界」(松尾弘 慶應義塾大学大学院法務研究科教授)の実現に寄与したい、と考えています。
当事務所のサステナビリティを推進する弁護士の一人として、自身の現在の活動をより一層充実させるとともに、社会の課題やニーズを捉え、すべての人にとって持続可能でより良い社会の構築に貢献してまいります。
都築翔弁護士(パートナー/第二東京弁護士会)

弁護士は、紛争解決や刑事事件のみならず、新たな価値創造にも携わることができる。学生時代に、国際的に活躍する弁護士から学んだこの気づきが、弁護士を目指す大きな契機でした。
2025年は、都築翔弁護士(パートナー)にとって、通常の企業法務に加え、国際協力、教育活動への参加、インパクトファイナンスに関する情報発信など、持続可能な社会に向けた様々な活動を実施した年となりました。
ブータン国データ利活用能力強化プロジェクト・法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラムへの参画
当事務所は、JICAが実施する「ブータン国政府のデジタル技術及びデータ利活用能力強化プロジェクト」において、保健医療データの利活用に関する法規制アドバイザリー業務を担っています。
同業務では、ブータン政府が進めるデジタルヘルスプラットフォーム構築に関連し、個人情報・保健データの一次利用および二次利用における同意管理、センシティブデータの定義と保護、非識別化・仮名化、データ主体の権利、データ漏洩時の責任分界、クラウド利用および越境データ移転に関する法的論点について、国際的な先行事例を踏まえた助言を行っています。
都築弁護士は、当事務所におけるプロジェクトの主要メンバーとして、2度にわたりブータンを訪問し、現地において政府関係者との協議や分科会への参加を通じ、法制度整備に関する具体的な論点整理および省庁間の合意形成を実地で支援しました。
また、都築弁護士は、日本弁護士連合会の推薦を受け、「法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」(法務省主催、UNODC協力)に、ファシリテーターとして参加しました。
同フォーラムは、2021年の京都コングレスで採択された「京都宣言」を踏まえ、法の支配および法遵守の文化を将来世代に浸透させることを目的として開催され、2025年は法務・司法分野におけるAIおよびデジタル技術の活用と課題を主要テーマに、35か国から79名の学生が議論に参加しました。議論の成果を取りまとめた「勧告」は国連に提出されたところ、都築弁護士は、実務的な視点などを提供しつつ、参加者が自国の課題や経験を共有し、建設的な意見交換が行われるよう役割を果たしました。
法曹と語る会・大学対抗交渉コンペティションでの次世代に向けた発信
都築弁護士は、進路選択に大きな影響を受けた自身の経験を踏まえ、学生に自らの経験や考えを伝える機会を大切にしています。
例えば、同弁護士の出身校では、弁護士・検事・裁判官などの法曹と中学生・高校生が直接対話し、法的思考や進路選択への理解を深めることを目的とした「法曹と語る会」がキャリア教育の一環として開催されています
同行事は、少人数での対話を通じて、生徒が実社会での法律の役割や多様なキャリアの在り方に触れる機会を提供しています。都築弁護士は、従来イメージされがちな「紛争解決を担う弁護士像」にとどまらず、企業法務を通じて新たな価値創造に関与する役割や、国際案件・国際協力を通じた社会貢献の可能性について話を行い、より広い視野で社会に関わる道があることを紹介しました。
また、都築弁護士は、「大学対抗交渉コンペティション」に、審査員として参加しました。同大会は、国内外の大学生が参加し、英語および日本語での模擬交渉・仲裁を通じて、実践的な交渉力や合意形成能力を競い合う国際的な教育イベントであるところ、都築弁護士は、交渉戦略の構築、論点整理の方法、相手方との合意形成における姿勢などについて、実務経験を踏まえたフィードバックを提供しました。
Tokyo Innovation Baseでの登壇
サステナブルファイナンスの一類型として、経済的な利益だけでなく、環境・社会・経済へのインパクトも考慮にいれるインパクトファイナンスが注目されています。
都築弁護士は、取扱分野の一つであるファイナンスの知見、及びプロトタイプ政策研究所の主任研究員として得た学会・実業会の議論等も踏まえ、情報発信に取り組んでいます。
Tokyo Innovation Baseで開催された社会課題の解決を志向するスタートアップ、投資家、支援者が集い、インパクト創出と持続可能な成長を両立するビジネスの在り方について議論するコミュニティイベントでは、日本で起業する海外の方やインパクト投資に関心のある機関投資家の担当者に対し、Impact Venture Fund Raisingについて、現状の日本の規制の問題点や今後あるべき姿についてプレゼンテーションを行いました。
都築弁護士は、今後も引き続き、弁護士としての専門性を活かして、持続可能な社会を支える仕組みづくりや人材育成、また社会課題解決を支えるエコシステムの発展に、少しでも貢献していきたいと考えています。
齊藤千尋弁護士(オブ・カウンセル/第二東京弁護士会)

弁護士会の災害対策委員会等に所属し、被災地支援の経験が豊富な齊藤千尋弁護士(オブ・カウンセル)は、当事務所のサステナビリティ委員会および翻訳プロボノチーム(T&Iチーム)の一員として社会貢献活動を推進しています。2025年は「A&S被災地出張相談(プロボノ)」を立ち上げました。
原点 ― 東日本大震災を経験して
齊藤千尋弁護士の原点は、福島市で経験した東日本大震災にあります。当時は、司法修習生という公的な立場にありながら、まだ法曹資格も経験もなく、地縁のない修習地で原発事故の報道に怯えながら助けを待つしかできなかったことが無念だったそうです。福島県弁護士会の先生方の助力を頂き、修習生仲間と共に東京へ避難した後は、「サバイバーズギルト(生存者の罪悪感)」に苦しみながらも、「弁護士になったら被災地のために行動したい」と心に誓いました。
齊藤千尋弁護士が、そのキャリアを岩手県でスタートすることになったのは、「被災地のために」という思いから、被災地に残ることを願ったためです。当時の東北被災三県では、法律事務所も大きな経済的なダメージを受けており、また折からの新人弁護士の就職難もあって募集は少なかったそうですが、幸運なことに、花巻市の早池峰法律事務所にご縁を得ることができました。
弁護士になってすぐの2012年1月、所長とともに赴いた岩手県陸前高田市での相談活動では、1年近く経ってもなかなか復興が進まない陸前高田市の現実を目の当たりにし、自身の無力さを痛感したといいます。相談場所として割り当てられたのは仮設のプレハブで、外に出れば津波で流された街の爪痕が色濃く残っている。そんな中、市役所では、津波で流された写真を洗い、きれいに修復する取り組みが続けられていました。齊藤千尋弁護士は、写真を手にした高齢のご夫婦の姿に胸を打たれたそうです。
被災者一人ひとりと向き合う
東日本大震災の被災地では、津波の危険性があっても「家族が亡くなったこの場所から離れたくない」と語る方もいて、被災者に寄り添う支援の難しさも経験しました。
以来、齊藤千尋弁護士は、被災者一人ひとりの状況を丁寧に汲み取り、その時々に本当に必要とされる支援を考えながら、地道に活動を続けてきました。
無料相談における法的助言にとどまらず、同じく災害被災者支援に取り組む弁護士、税理士、建築士、社会福祉士など多様な専門家や弁護士会を通じて各地方自治体と協働し、相談に訪れた方の生活再建に必要な支援情報を零さずお伝えするとともに、協力して被災者支援活動を行う実績を積み上げ、将来の災害に備えて信頼関係を築く努力を重ねてきたのです。
さらに、静岡県での台風被災者支援や能登半島地震での電話相談を通じて、「平日は仕事で相談に行けない」という被災者の声を多く受けたことが、「A&S被災地出張相談」を構想するきっかけとなりました。
「A&S被災地出張相談」に込めた想い
2025年に新設した「A&S被災地出張相談」は、被災地で働く人々が平日の職場で生活再建や法律相談を受けられるようにする、新しいアウトリーチ型支援です。
「相談者が来るのを事務所で待つのではなく、弁護士が助言を必要とする人の元に出向く」という発想は、近年その重要性が認識され、少しずつ広がりを見せている考え方です。この理念に共感する多くの弁護士やスタッフの賛同を得て、「A&S被災地出張相談」は、事務所の正式なプロボノとして制度化されました。さらに、T&Iチームとの連携により、外国人従業員など多様な背景をもつ方々にも対応可能な体制を整えています。
「災害時こそ、誰もが安心して相談できる環境をつくりたい」という思いのもと、現場の声を大切にしながら、最適な支援の形を模索し続けています。
未来へ―
齊藤千尋弁護士は、今でも被災地を訪れるたびに、東日本大震災の際に感じた無力感がよみがえると語ります。だからこそ、被災地支援は一人ではなく「チームとして取り組むこと」に意義があると強く感じています。
「災害大国と言われる我が国では、大災害のリスクは常に身近にあり、災害時の外国語対応のニーズは、今後ますます高まっていきます。A&Sが積み重ねてきた取り組みの真価が問われるその時に備え、一人では成し得ないことを仲間とともに実践していきたいです。」
これまでの経験および肩書
【経験】
2013年度~2014年度 法テラス気仙(大船渡市)無料相談担当
2021年5月、2022年7月および2025年3月女性のための相談会相談担当
2022年台風15号浸水被害 静岡市清水区役所相談担当
2024年能登半島地震被災者電話相談担当
【肩書】
第二東京弁護士会 災害対策委員会委員(2021年~)、副委員長(2023年~)
日本弁護士連合会 災害復興支援委員会委員(2021年~)
関東弁護士連合会 災害対策委員会委員(2022年~)