2023.09.25
ニューズレター

「インドネシアにおける腐敗防止法」:インドネシア・マレーシアチーム

詳細

インドネシアにおける腐敗防止法

はじめに

インドネシア共和国(以下、「インドネシア」という。)では公務員への贈賄が日常化していると言われて久しい。Transparency Internationalの発表したCorruption Perceptions Index 2022では、インドネシアの腐敗度数は180か国中110位であった。また、現在、公務員による賄賂の収受は、1965年から1998年まで続いたスハルト政権下より悪化していると言う。

 

スハルトの時代

スハルトがインドネシアにおける事実上の権力者となったのは1965年の9月30日事件以降である。この事件は、陸軍の青年将校が陸軍の将軍ら5名を殺害したというクーデター未遂事件であるが、事件後、速やかに青年将校らを鎮圧したスハルトは、これは共産党によるクーデター未遂であるとして、インドネシア全国での共産党員の排除に乗り出した。この時、正式な裁判を経ることなく殺害された人々の数は正確には不明であるが、一説によれば50万人に及ぶとも言われる。

他方で、スハルトは公務員に対して政党ゴルカルへの入党を義務付けた。そして、公務員の数は増えていったが、公務員の給与は依然として低いままであった。そのような公務員がどのようにして生活していくか。そのために、公共サービスを受けるために必要となる書類は多種作用になり、それぞれの書類にサインをもらうために手数料と称して賄賂が発生するようになったと言われている1。また、時には理由なく公共サービスの提供は遅滞され、速やかにサービスの提供を受けたければ賄賂を支払うよう、明示又は黙示的に要求されるようになった。その結果、鶏が盗まれたことを警察に通報するにはヤギ1羽分の賄賂が必要で、ヤギが盗まれたことを警察に通報するには牛1頭分の賄賂が必要だと言われるようになったと言われる。

​​​​

続きはこちらをご覧ください。

 

発行年月
2023.09
業務分野
インドネシア/マレーシア
掲載先

ニューズレター

著者等
オブ・カウンセル

柿原 達哉 Tatsuya Kakihara

お問い合わせ