2022.04.04
ニューズレター

[コラム] 「霞が関からのつぶやき #02 『難民』という法的地位」:安冨潔弁護士(顧問)

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「難民」という法的地位

難民と避難民

ロシアによるウクライナに対する軍事侵略により、ウクライナから避難する多くの人々を法的にどのように受け入れるかは重要な課題です。

国際法では、各国は、本国での危難を避けて国外に脱出した者に対してこれを受け入れ、その入国・在留を保障するとともに定住に必要な一定の待遇を与える庇護権を、受入国の裁量権として認めています。これにより迫害その他の対立抗争によりやむなく本国を離れ、本国の保護を求められない者に対して、受入国は、外国人の入国・在留・出国に関する管轄権の行使に、例外的に一定の制限を受け入れることとしています[1]

我が国では、難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)第1条の規定又は難民の地位に関する議定書第1条の規定により難民条約の適用を受ける「難民」(出入国管理及び難民認定法第2条第3号の2)については難民の認定を定めていますが、戦争や地域紛争等からの「避難民」を我が国に受け入れることを具体的に想定して制定された法律はありません[2]

他国からの軍事侵略を受けて、本国から第三国に避難を余儀なくされた人々について、難民条約の適用を受ける難民として、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)に規定する「難民」に該当するとは限らない人で人道的な観点から受け入れるべき人は「避難民」というのが適当です。


[1] 山本草二『国際法』〔新版〕517~518頁(有斐閣・1994年)

[2] 我が国の法令では、東チモール避難民救援国際平和協力隊の設置等に関する政令(平成11年政令第378号)で、「東チモールにおける紛争により西チモールに避難することを余儀なくされた住民(以下「東チモール避難民」という。)」として、「避難民」という語を用いて、国内紛争による避難という状況で用いているものがあります。

 

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顧問/コンサルタント

安冨 潔 Kiyoshi Yasutomi

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