「契約書があるのに、なぜ紛争になるのか」
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契約書があるのに、なぜ紛争になるのか
―裁判において「契約書に書かれていない事情」はどう見られるのか―
企業間の取引では、後日の紛争を防ぐために契約書を作成します。それでも実際の企業間紛争では、「この費用は契約金額に含まれていたのか」、「この対応は当初の契約の範囲内だったのか」、「どの程度の品質まで約束していたのか」など、契約の内容そのものが争われることがあります。
契約紛争を防ぐためには、まず、取引上重要な条件をできる限り契約書に明確に定めておくことが重要です。もっとも、実際の取引では、契約書だけですべての具体的な条件や取引の前提を書き切れないこともあります。そのため、見積書、仕様書、メール、議事録などについても、契約書の内容に齟齬がないかを意識するとともに、紛争になった場合に当時の経緯を確認できるよう、重要なやり取りを適切に残しておくことが大切です。
なぜなら、裁判では契約書が重要な出発点となる一方で、その文言の意味が争われる場合には、契約締結までの経緯や当時のやり取りなども確認しながら、当事者間で実際にどのような合意がされていたのかが検討されるからです。
私自身、裁判官として勤務していた際、多数の民事訴訟を担当し、その中で企業間の契約をめぐる紛争について審理・判断してきました。そこで本稿では、こうした経験も踏まえながら、裁判になった場合に契約書とその周辺の事情がどのように見られるのかを、一般的な商品取引を例に考えてみます。
契約書があるのに、なぜ紛争になるのでしょうか。一つの理由は、契約書に条項があっても、その文言の意味が一つに決まるとは限らないことです。また、実際の取引では、契約書だけで取引の前提や具体的な条件のすべてを表現し切れていないこともあります。もっとも、だからといって、裁判になれば契約書以外の事情が自由に考慮され、契約書の記載が簡単に覆るわけでもありません。
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【目次】
―裁判において「契約書に書かれていない事情」はどう見られるのか―
1. まず見るのは、やはり契約書
2. 契約書以外では、どのような資料が見られるのか
3. 裁判では「動かし難い事実」を積み重ねる
4. 紛争になる前に作られた資料には意味がある
5. 契約実務で意識しておきたいこと
6. おわりに
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- 発行年月
- 2026.11
- 業務分野
- 一般企業法務 会社法関係争訟/一般民事訴訟
- 掲載先
- 著者等