「福祉・介護MaaSからみた改正地域交通法と道路運送法」:Emerging Industriesチーム
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福祉・介護MaaSからみた改正地域交通法と道路運送法
はじめに
2026年6月10日に公布された改正地域交通法(令和8年法律第35号)は、地域にすでにある輸送資源を使い切るという方向を明確に打ち出しました。福祉・介護分野のモビリティサービスにとって、追い風であることは間違いありません。
もっとも、その条文を読むと、政策文書が描く姿と、法が実際に拾う範囲との間には無視できない差があります。改正法が新たに「施設利用者用運送サービス提供者」として位置付けるのは、無償・白ナンバーで利用者を送迎する施設運営者等に限られ、新設された再構築事業の対象も既存のバス路線等の休廃止(又はそのおそれ)に限られます。そして、自家用有償旅客運送を用いるモデルの成否を最も強く規定する登録主体の限定と対価規制には、今回の改正は及んでいないのです。
背景を確認しておきます。国土交通省「交通空白」解消本部の2026年リストアップ調査では、「交通空白」に該当する地区は2,740地区、要モニタリング地区を含めると4,238地区・1,152自治体に及び、居住人口の18.9%、国土面積の41.3%を占めます。担い手不足を背景に、政策の重心は新たな輸送力の創出から、すでに地域にある輸送資源をどう使い切るかへと移りました。
その最前線にあるのが、福祉・介護分野のモビリティサービスです。例えば、介護施設が個別に行う送迎を地域単位で束ね、日中の遊休車両を高齢者の買い物支援に転用する取組みが、香川県三豊市・滋賀県野洲市などで本格運行に入っています。三豊市では地域のタクシー事業者が運行を受託する一方、野洲市では一般社団法人自身が福祉有償運送の登録を受けて運行しています。このように、交通事業者以外の企業・団体が地域交通に関与する形は、すでに複数の形態で実装されています。
本稿において、複数の福祉・介護施設の送迎を共同化し、配車・運行管理等を一体的に行う取組みを、便宜上「福祉・介護MaaS」と呼びます。自動車メーカー、システムベンダー、交通事業者、運営を担う法人など、これに関与しうる事業者を念頭に、改正法が何を可能にし、何を可能にしないのかを条文に即して整理します。
続きはこちらをご覧ください。
【目次】
1 はじめに
2 政策の方向 ── 輸送資源のフル活用
3 改正法が拾う輸送資源は、条文上かなり狭い
4 改正法が与えるもの ── 認定によるみなし特例
5 現場が挙げる4つの課題に、法はどう答えているか
6 参入設計の分岐 ── 許可・登録の要否
7 おわりに
【関連リンク】
- 発行年月
- 2026.09
- 業務分野
- MaaS/新型モビリティ
- 掲載先
- 著者等