2023.03.03
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「動産譲渡担保・債権譲渡担保の明文化について」:ファイナンスプラクティスグループ

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動産譲渡担保・債権譲渡担保の明文化について

法制審議会の担保法制部会は、令和4年12月6日、企業等が設定する担保に関して、「担保法制の見直しに関する中間試案」(以下、「本試案」といいます。)を取りまとめました。本試案では、事業担保権についての検討、動産及び債権以外の財産権を目的とする担保権についての検討等と併せて、現在のところ法律上の明文がない譲渡担保及び所有権留保に相当する担保権につき、法律に定めるなどの担保法制上の新たな方針が示されました。従来の不動産重視の融資は、保有不動産が少ない中小企業・スタートアップ企業の成長の妨げとなっているとの指摘がある中、現状を変える動きとなることが期待されます。本稿では、本試案のうち、譲渡担保に関する部分につき紹介します。

 

1.        背景

 

動産(在庫等)や債権(売掛債権等)は、企業が一般的に保有する財産であり、これらを担保に融資が受けられれば不動産等の固定資産に乏しい企業の成長に資する一方、従来の明文で認められた制度を用いてこれらを担保提供するには不都合があります(例えば、動産質は質権者による継続した占有が必要であるため(民法352条)、事業活動に必要な動産を担保提供するには不向きです。)。そこで、譲渡担保(担保対象(将来債権を含む。)を担保権者に譲渡するが、設定者は通常の範囲内で使用等できる解釈上の法形式)が、担保手法として利用されてきました。

 

しかし、譲渡担保を用いたABL(Asset Based Lendingの略称で、流動資産(在庫である動産、売掛債権等)を担保として活用する金融手法のこと)は、減少傾向が続くなど、必ずしも利用が定着しているとはいえない状況にあります。また、譲渡担保は明文がないため、その法的効果に明確でない点が残っています(例えば、一物一権主義等との関係で譲渡担保の重複設定の可否や後順位譲渡担保の設定の可否は明らかでなく、法定担保物権のような明確な法的実行手続がない。また、根担保の明文上の根拠がない。)。
 

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発行年月
2023.03
業務分野
バンキング
掲載先

ニューズレター

著者等
シニアパートナー

大上 良介 Ryosuke Oue

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アソシエイト

吉永 加武人 Kabuto Yoshinaga

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