[Vietnam Legal Update]「政令320号/2026/ND-CP:外国人に適用されるVNeIDの主な変更点」

政令320号/2026/ND-CP:外国人に適用されるVNeIDの主な変更点

2026.9.17
1.  はじめに
2026年8月13日、ベトナム政府は、電子認証・電子識別制度を定める政令69号/2014/ND-CP(以下「政令69号」といいます。)の複数の規定を改正する政令320号/2026/ND-CP(以下「政令320号」といいます。)を公布しました。政令320号は2026年9月28日から施行され、外国人の電子認証・識別アカウント(VNeID)について、利用対象、利用方法及び申請手続を大きく変更するものです。
 
本Legal Updateでは、政令320号による主な改正点を概説するとともに、外国人及び外資系企業への影響について解説します。
 
2.  主な変更点
2.1.  外国人によるVNeIDの利用対象の拡大
政令320号により、ベトナムに適法に入国した外国人又はベトナムに適法に居住している外国人は、VNeIDアカウントを申請できるようになります。従前、政令69号では、外国人が申請するためには、永住許可証(PRC)又は一時在留許可証(TRC)を保有していることが要件とされていました。しかし、これらの許可証は、ベトナムに適法に居住するすべての外国人に取得が義務付けられているものではないため、従前は、ベトナムに居住する多くの外国人がVNeIDアカウントを取得できませんでした。
 
2.2.  外国人によるアカウント申請手続の一本化
政令320号により、対象となる外国人が自己の端末を利用してオンラインでレベル1のVNeIDアカウントを申請する方法は廃止されました。今後は、レベル1及びレベル2のいずれのVNeIDアカウントについても、各省・市の公安機関の入国管理部門に本人が出頭して申請する必要があります。申請者は、所定の申請書を提出し、有効なパスポートを提示するとともに、顔画像及び指紋の採取を含む生体認証を受ける必要があります。14歳未満の外国人、並びに後見又は法定代理の対象となる外国人については、後見人又は法定代理人が同伴の上、本人が出頭して登録手続を行う必要があります。
外国人には、VNeIDアプリ、登録済みの携帯電話番号又は電子メールアドレスを通じて、申請結果が通知されます。
 
2.3.  外国人向けVNeIDアカウントの機能の拡張
政令320号は、VNeIDアカウントの取得対象を拡大し、申請手続を一本化することに加え、外国人向けVNeIDアカウントで利用できるサービスの範囲も拡大しています。従前は、外国人については、レベル2のアカウントのみが専門データベース及びVNeIDのすべての機能を利用することができ、レベル1のアカウントで利用できる機能はより限定されていました。政令320号により、この取扱いが変更され、外国人については、レベル1又はレベル2のいずれであるかを問わず、VNeIDのすべての機能を利用できるようになります。さらに、政令320号により、VNeIDアカウントを取得した外国人は、ベトナムへの入出国に際して、空港の自動化ゲートを利用できるようになります。
 
2.4.法人向けVNeIDアカウントの処理期間の短縮
政令320号では、新たにVNeIDアカウントを開設する法人について、法人に関する確認可能な情報が国家データベース又は専門データベースに存在しない場合の最大処理期間が10営業日に短縮されました。当該情報が既にデータベースに存在する場合には、従前と同様、処理期間は最大3営業日のままとされています。
 
3.  外国人及び外国企業への影響
2026年6月1日以降、ベトナム政府は、企業が国家公共サービスポータル(dichvucong.gov.vn)及び公安省公共サービスポータルにアクセスする際の電子署名及びトークンによるログイン方法を廃止しました。これにより、企業は法人向けVNeIDアカウントを利用してアクセスすることが義務付けられています。さらに、2026年7月1日以降、電子労働契約を締結する企業についても、法人向けVNeIDを通じて当該プラットフォーム上で認証を行う必要があります。これらの変更は、ベトナムで活動する個人及び企業の双方にとって、VNeIDアカウントの役割が一層拡大していることを示しています。
 
もっとも、従前の規制では、法人向けVNeIDアカウントを開設するためには、その法人の法定代表者がレベル2のVNeIDアカウントを保有している必要がありました。このため、永住許可証(PRC)又は一時在留許可証(TRC)を保有していない外国人のみが法定代表者となっている企業は、法人向けVNeIDを登録することができず、ベトナム人を追加の法定代表者として選任するといった代替的な対応を余儀なくされていました。政令320号は、外国人によるVNeIDの取得対象を拡大することでこの問題に対応しており、これらの外国人も自己のVNeIDアカウントを取得し、その後、自らが法定代表者を務める法人のVNeIDアカウントを登録することが可能となります。
 
政令320号による改正によっても、実務上のメリットが期待されます。前述のとおり、VNeIDアカウントを有する外国人が自動化ゲートを利用できるようになることで、当該外国人の入出国手続の大幅な効率化が期待されます。また、VNeIDアカウントが必要な行政サービスにアクセスできないことによる企業活動の中断を防止する効果も期待されます。
 
以上の制度変更を踏まえ、ベトナム企業の法定代表者である外国人で、現時点で個人向けVNeIDアカウントを保有していない方は、2026年9月28日の政令320号施行後にVNeIDアカウントを登録することが推奨されます。また、当該企業について法人向けVNeIDアカウントがまだ開設されていない場合には、企業活動への支障を回避するため、その後速やかに法人向けVNeIDアカウントを開設することが望まれます。
 

著者等

パートナー

入江 克典 Katsunori Irie

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オブ・カウンセル

グエン・ティ・フォン・ラン Thi Phong Lan Nguyen

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